1970年代以前の古典映画から、おすすめの名作を邦画・洋画を問わず紹介。


SF・ファンタジー

◆猿の惑星(1968) フランクリン・J・シャフナー
 個人的にSF映画が面白くなるのは、この作品から。今見ても何の違和感も感じない特殊メイクが凄い。同年に公開された「2001年宇宙の旅」も定番だが、序盤と終盤の難解さは人を選びそう。人工知能との対話シーンは面白いんだけど。

◆スター・ウォーズ(1977) ジョージ・ルーカス
 紹介するのも馬鹿馬鹿しい作品。後に作られた新三部作はCGを多用しすぎな上に話もイマイチなので、なるべくこちらの旧三部作から見ることをオススメする。リドリー・スコットの「エイリアン」と共に、世界的なSFブームを巻き起こした傑作。

◆銀河鉄道999 劇場版(1979) りんたろう
 内容的にはテレビシリーズの総集編なので詰め込みすぎな感は否めないが、とにかくラストシーンの演出とゴダイゴの曲が神懸かってる。実写だと、やはり「ゴジラ(1954)」になるが、ストーリーはさすがに今では物足りないかも。




アクション

◆007/ロシアより愛をこめて(1963) テレンス・ヤング
 アクション映画の古典にして、完成形。ストーリーに冷戦が絡んでおり、シリーズの中でもスパイらしさが強く出てるのが良い。続編の「ゴールドフィンガー」以降は、荒唐無稽すぎてほとんどギャグになってるんだけど、それはそれで面白かったりもする。

◆酔拳(1978) ジャッキー・チェン
 香港映画で一番好きな作品。その後、日本の少年漫画で散々用いられる「敗北→修行→リベンジ」というパターンはここからきてる気がする。石丸博也の吹替版で是非。他、ブルース・リーの「燃えよドラゴン」、スタローンの「ロッキー」も定番。

◆ルパン三世 カリオストロの城(1979) 宮崎駿
 アクション映画でハリウッドと張り合える、唯一の邦画じゃないかと思う。のちの宮崎作品と違い、シンプルな勧善懲悪で何も考えずに楽しめるのが良い。山田康雄や納谷悟朗といった今は亡き声優陣の演技も堪らない。実写だと「用心棒」もオススメ。




ミステリ・サスペンス

◆情婦(1957) ビリー・ワイルダー
 白黒映画を見るなら、まずはこれから。アガサ・クリスティーの有名な戯曲を映画化したもので、主人公の弁護士のじいさんが素晴らしく魅力的。50年代では他にも、ヒッチコックの「裏窓」、ルメットの「十二人の怒れる男」なども定番。

◆刑事コロンボ(1968) ピーター・フォーク(主演)
 あの「古畑任三郎」の元ネタと聞いてはいたが、主人公のキャラから演出から、ここまで似てるとは知らなかった。特に印象に残った回は「別れのワイン」「二枚のドガの絵」「溶ける糸」「断たれた音」「逆転の構図」「忘れられたスター」あたり。

◆犬神家の一族(1976) 市川崑
 横溝正史の「金田一耕助シリーズ」は数多く映像化がなされているが、この作品が一番出来が良い。戦後の地方豪族で起きた遺産相続をめぐるドロドロの愛憎劇は今見ても新鮮だし、主演の石坂浩二を始め、俳優陣も演技派揃い。




サイコ・サスペンス&ホラー

◆フリークス(怪物團)(1932) トッド・ブラウニング
 実際に見世物小屋で活躍する身体障害者たちが起用されており、見る者を自身の差別意識と否応なく向き合わせる怪作。白黒では他、フリッツ・ラングの「M」、ヒッチコックの「サイコ」、「何がジェーンに起ったか?」などが有名。

◆ゾンビ(ドーン・オブ・ザ・デッド)(1978) ジョージ・A・ロメロ
 ホラー系では、70年代三大オカルト映画「エクソシスト」「オーメン」「サスペリア」や「ローズマリーの赤ちゃん」「ジョーズ」も定番だが、エンタメとしてはこれが一番面白いと思う。本作が後のゾンビ映画に与えた影響も計り知れない。

◆羅生門(1950) 黒澤明
 個人的には黒澤明の最高傑作。三船敏郎の演技はオーバーアクションすぎて私はあまり好みじゃないが、海外で評価が高いというのは分かる気がする。外国人からすれば東洋人の細かい表情は伝わりづらいだろうし、あれくらいやって丁度いいのだろう。




クライム・サスペンス

◆時計じかけのオレンジ(1971) スタンリー・キューブリック
 人間の「負の面」を切り抜かせたら右に出る者のない、キューブリックの最高傑作。主人公の無軌道な若者っぷりはリアルすぎて寒気がするほどだし、そこからのSF展開がまたぶっ飛んでる。全編を貫くイカれた映像センスも強烈。

◆ゴッドファーザー(1972) フランシス・F・コッポラ
 これぞキング・オブ・古典映画。続編はそこまで好きじゃないが、1の徐々にドンの風格を身につけていくアル・パチーノの演技は圧巻。他、ポール・ニューマンが男前すぎる「スティング」、ラストがあっさりしすぎだけど「ジャッカルの日」もオススメ。

◆太陽を盗んだ男(1979) 長谷川和彦
 個人で核爆弾を作り、国を脅迫するという設定からして面白い。左翼運動壊滅後の時代であり、当時の日本に漂っていたであろう虚無感が全編に満ち溢れている。若き日の沢田研二と菅原文太の演技が冴え渡る、邦画を代表するピカレスク映画の傑作。




戦争・歴史

◆独裁者(1940) チャールズ・チャップリン
 チャップリンは何を挙げるか迷ったが、ヒトラーという歴史上の有名人をパロったこの作品が一番分かりやすいと思う。他では「大脱走」「博士の異常な愛情」「地獄の黙示録」なども定番だが、このあたりはちょっとハマれなかった。

◆ベン・ハー(1959) ウィリアム・ワイラー
 ラスト付近で急激に宗教臭くなるのは残念だが、それまでは完全に神作。分かりやすいシンプルな復讐譚で、金のかかったセットは今でも充分に見応えがある。他、この時期の三時間を超える歴史物の中では「アラビアのロレンス」も面白かった。

◆機動戦士ガンダム(1979) 富野由悠季
 SFで挙げろと言われそうだが、邦画の戦争映画といえばやはりこれ。私は世代でも何でもないが、結局シリーズではファーストが一番好きだ。可能ならTV版で見て欲しいが、総集編である劇場版も上手くまとまってるので、時間と相談して選択すると良い。




コメディ

◆吾輩はカモである(1933) マルクス兄弟(主演)
 日本では、古典コメディといえばチャップリンみたいなイメージがあるが、欧米ではマルクス兄弟の方が評価が高いと聞く。本作は彼らの代表作で、ドリフがネタをパクってたことでも知られる。特にハーポ(喋らないキャラ)のムカつく演技は必見。

◆お熱いのがお好き(1959) ビリー・ワイルダー
 コメディ映画では最もメジャーな一本。テンポは良いし、マリリン・モンローは魅力的だし、おまけに古川太一郎と愛川欽也の名吹替も楽しめる。他では元祖ツンデレヒロイン(?)が登場する、フランク・キャプラの「或る夜の出来事」も捨てがたい。

◆丹下左膳餘話 百萬両の壺(1935) 山中貞雄
 若くして亡くなった天才・山中貞雄の痛快時代劇人情コメディ。隻腕片眼の主人公・丹下左膳と、その居候先の女将の、子供に対するツンデレっぷりが可愛すぎる。古典映画としてだけでなく、歴代の邦画で最も好きな作品かも。




編集後記

 以上、映画を7ジャンルに分類し、それぞれ洋画2本、邦画1本を選んでみた。

 白黒もカラーも、実写もアニメも、なるべく平等に評価したつもり。さすがに80年代以降の作品に比べれば映像や演出のクオリティは劣るが、いずれも脚本やテンポでは負けていないので、若い人でも楽しめると思う。

 また、分類しきれなかった作品として、児童向けアニメから高畑勲の「アルプスの少女ハイジ」と出崎統の「ガンバの冒険」もオススメしておく。

 サイレント映画(無声映画)はオタクになってから手を出せば十分だと思うが、もし見るなら、フリッツ・ラングの「メトロポリス」、チャップリンの「街の灯」、小津安二郎の「大人の見る繪本 生れてはみたけれど」あたりが入りやすい。

 特に「メトロポリス」はのちのSF作品に与えた影響が大きく、手塚治虫の同名漫画をはじめ、至るところでオマージュされている。